【吉配信】~森とヒトと

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Thursday, May 11, 2006

【新旧交替がすすむ木造建築工事業】

Subject: FW: 【新旧交替がすすむ木造建築工事業】
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        ハウジングネットワークレポート 第92号         

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■テーマ:新旧交替がすすむ木造建築工事業

平成16年調査の事業所・法人企業統計の結果が公表になった。
地域工務店を主体とした木造建築工事業は、86,995事業所、従業員数は、412,581人
まで減少し、大都市圏を中心に、供給主体の淘汰が加速している。

この間に勝ち残っている工務店も、戸建市場の縮小に伴って、生産性は伸び悩んでい
る。今後も、戸建住宅の着工数が急速に回復することは考えにくく、地場工務店にと
っては、営業力の強化、リフォームなど周辺分野への多角化など、生産性の向上が
緊急の課題となっている。


1.この3年間で廃業12,000事業所、新規開業6,000事業所

事業所法人企業統計は、事業所の国勢調査といわれる統計です。今回公表されたもの
は、平成16年10月時点、前回調査は平成13年です。

わが国全体の総民間事業所は、572万事業所あり、平成3年以降減少が続いている。
規模別では、従業員規模10人以下で減少し、300人以上の大企業が若干増加。産業別
では、製造業や建設業が減少し、介護福祉関連や情報通信業、人材派遣事業など
サービス業で増加している。

経済のソフト化や寡占化がさらに進行している。

木造建築工事業は、全国で86,995事業所と前回調査の平成13年見比べて、11,935事業
所が廃業、新規開業が6,593事業所。開業率は、7.6%、廃業率は、12.9%と廃業率が
大きく上回っている。

※開業率=新規開業÷平成16年の事業所数×100
※廃業率=廃業÷平成13年の事業所数×100

建設業の主要業種別で見ると、建築リフォーム業と気通信工事業は、廃業率も高いが
新規開業率も高く、この分野の新旧交替が最も活発になっている。

注目のリフォームも競争激化で市場からの退出組も多いことが注目される。

また、廃業率が高く開業率が低い業種は、大工工事業や板金工事、左官工事などであ
り、単機能の専門工事業は、市場での存在意義を失いつつある。

地場工務店を得意先とする住建メーカーや建材流通業は、今一度、自社の得意先を見
直し、これからも存続可能な得意先であるかを検証しなければならない。また、この
ままでは、従来の得意先だけでは、年々4~5%は売上げが減少するということであ
り、新規開業店の開拓が課題になる。

専門工事業を得意先とするメーカーや流通業は、意欲有る得意先を選別し、得意先の
多角化や業態転換を支援していくことが課題となる。

木造建築工事業の都道府県別の開業率、廃業率を見ますと、和歌山県をのぞく46都道
府県で廃業が開業を上回っている。

廃業率も開業率も高くて新旧交替の活発なエリアは、沖縄県、大阪府、神奈川県など
大都市圏と西日本エリアが目立っている。このエリアは、分譲系の需要が多いこと
やパワービルダーの展開によって地場工務店の淘汰が急速に進展している。

逆に、廃業が多くて、開業が少ないは、東京都、北海道、千葉県であり木造建築業を
支える需要が少なくなっているエリア。

また、開業が多くて廃業の比較的少ない府県は、和歌山県、富山県、福井県、奈良
県、鳥取県などのまだ、木造建築の比率の高いエリアで地域特性から地場工務店
の存立基盤がまだ確保できている。

そのほかの県は、廃業も開業も少ないエリア。新潟県や茨城県は、地元で安定した需
要に支えられている。今のところは淘汰の波が押し寄せてきていないが、今後は安心
できない。


2.事業所数は減少しても、生産性は上がっていない。

木造建築工事業の一人当りの着工戸数(持家+戸建分譲)の生産性は、1.23戸であ
る。漸く歯止めが掛かったようだが、これは戸建分譲の増加が寄与しているためで
ある。戸建1戸当りの工事額が2500万円とすると、精々3000万円前後ということにな
る。

最近のローコスト化の傾向を考えると、地場工務店の生産性はほとんど伸びていな
い。(もちろん、それぞれの工務店では、リフォームや他の周辺事業で売上げを確保
している場合もあるが)

地場工務店の限界利益(粗利)は20%前後であり従業員一人当りの付加価値額は600
万円。これでは、やりがい生きがいのある人材育成はできない。いま、今後の成長
戦略を描くことが求められる。

従業員一人当りの生産性の高い都道府県は、大阪府、奈良県、和歌山県、首都圏のエ
リアであり、一人当たりの戸建着工戸数は、1.8~2.0戸前後。逆に生産性の低い都道
府県は、島根県の0.45戸を筆頭にローカル市場では大変厳しい環境にある。大都市
圏は、戸建分譲や大手ビルダーの供給ウエイトが高いこともあるが、一人当たり1000
万円しかない市場では、先行きさらに選別淘汰が進行するのは間違いない。


ハウスメーカーの場合は、戸建もアパートも手がけるので単純に一人当りの売上げで
見ると、最大手の積水ハウスは、6,882万円、大和ハウスで6,206万円、エスバイ
エルで5,500万円、パナホームで4,000万円となる。

戸建棟数に換算すると1.5棟から2.5棟くらいにしかならない。大きな販売組織や生産
工場を抱えながらも、決して生産性が高いとはいいがたい。棟数だけで考えると工務
店並の生産性しかない。

一方、戸建分譲を主体とした東栄住宅は、588人で4,190棟、一人当たりの生産性は、
7.1棟、2億5千万円にもなっている。パワービルダーといわれるグループは、
概ね2億~2.5億前後である。分譲とビジネスモデルが異なるというのであれば、
注文住宅だけのスモリ工業(宮城県)は、62人で300棟、一人当たりの生産性は
4.8棟、9,500万円、ウェルズホーム(福島県)は9人で60棟、アルプスピアホーム
(長野県)は12人で60棟、とやまアイホーム(富山県)は23人で115棟と一人当たり
4~5棟前後こなすビルダーも少なくない。これらのニューカマーグループの
多くは平成10年以降の設立の会社である。


注文住宅ビジネスで高い生産性を挙げている会社の共通点は、

◎ ハウスメーカーと同様に『商品』を持っていること、価格は、ハウスメーカーよ
り三割安い。(実販売価格2,000万円前半で、決してローコストではない)

◎ 営業マンを持たないなど、売り込み型でない独自のマーケティングを展開。

◎ 顧客志向の経営理念が末端まで、浸透していること。(それなりの規模であ
る。)アフターサービス会社を持っていることも特徴。

また、経営者は若く、ハウスメーカーの経験があってスピンアウトし創業したケース
が目立っている。このような新しい地域住宅産業の担い手がどんどん出てくること
が期待される。


★トピックス★
『中小企業新事業活動促進法』を利用して、経営革新を図ろう!

今年から中小企業に対する施策が大きく変わる。従来の中小企業施策は、大企業と中
小企業の格差を全体として縮小していこうという観点で取り組まれてきたが、今回の
改正のキーワードは、「全部は面倒見きれないから、手を上げる意欲的な中小企業
に対して重点的に支援しよう」という風に変わった。

中小企業施策は、新事業創出億進法、創造法、経営革新法など複数の法律によって複
雑で、重複した施策であったが、今回「中小企業新事業活動促進法」に一本化され
た。支援の内容は、創業支援、経営革新支援、新連携支援である。

地場工務店や建材流通業者にとっての目玉は、経営革新支援である。

厳しい環境下にある工務店や建材流通業として、経営革新計画を作成して、都道府県
知事に対して「計画承認申請書」を提出し、経営革新計画支援企業として承認され
ると、様々な支援措置を受けることが可能になります。

経営革新の内容は、商品やサービスの開発、販路の開発、人材の養成などによって、
生産性を如何に高めるかという計画です。生産性の評価は、従業員当たりの付加
価値額の増加です。

具体的には、工務店であれば、自社のオリジナル住宅の商品化や、パッケージリ
フォームの開発や独自の工法開発や導入などによって、競争他社との差別化を図る
ことで、高付加価値販売を実現して、生産性を上げる。といった具合です。

支援措置は、補助金、税制面の優遇、低利融資など多くのメリットがあります。特
に、経営革新補助金は、経営革新計画を実現するための市場調査や開発費用
などが補助金としてもらえる。(国の承認で50%、都道府県の承認で33%)
詳細は、 http://www.chusho.meti.go.jp/shinpou/leaf.html


まず、自社の経営革新計画承認申請を行うことが第一です。

この点についてマーケンネットは、アドバイスを行うことができます。関心のある方
は、是非、ご連絡下さい。電話やメールは無料で対応します。

経営革新計画といっても、難しいことではなく、「何か新しい取り組みを始め、生産
性を上げること」と考えて下さい。

従来の「経営革新法」支援では、スモリ工業(体感ショウルームの開設)、はじめ県
産材を活用した木造住宅の開発と販売(土佐匠の家)、金物接合の工法開発
(進藤建設)など多数実績があります。

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